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「神戸の保育園」竣工…。

先月末、「神戸の保育園」が竣工しました。


昨年の8月に着工してから、8ヶ月。 計画期間も含めると約2年…。
私たちが、設計監理を担当させていただいた「神戸の保育園」がようやく完成を迎えました!

 

こちらも近日中に、Webサイトの作品集にアップさせていただきますが、
このブログでも纏めてみましたので、よろしければご覧ください。 😀
 

 

 

この保育園は、【都市型保育園】として、


①市街地の限られた敷地内で、必要保育室面積を確保しつつ、良好な保育環境をつくりだすこと。
②感受性豊かな園児たちが、楽しみながら自然に学べる環境を構築すること。

設計上の課題でした。

 

①について…。

敷地面積を考慮しなければ、下図左のような接地型の方が保育環境として望ましいのですが、待機児童の多い都市部において、一定数の園児を迎えるためには、右の理想的な園舎とは言い難いビル型プランを選択せざるを得ません。

そこで右のビル型プランでも、保育環境が充足されるよう、次のように計画を進めました。

 

まず、下の断面図のように、日当たりの良い南側へ園庭を確保し、それに面して保育室を配置。


つづいて、接地していない2階、3階の保育室には、
雨天でも利用可能な奥行の深いテラス(準園庭として位置付け・下写真)を設けると共に、

そのテラスに面した保育室に大開口(下写真)を設け、その窓を開放できる設計に…。
 それによって、テラスと保育室の一体利用を可能にしつつ、
自然通風、そして適度にコントロールされた自然採光を室に導入できるよう配慮。

 

加えて下図のように、保育室と園庭との直通屋外階段を設け、
保育室から園庭へのアクセスを容易にすることで、接地できない保育室の問題を緩和しています。

 

 

 

②について…。

感性豊かな園児達が、日常生活で、遊びながら自然と学べる保育環境が望ましいと考え、絵本やお絵かき帳などの学習教材に加え、【保育園が教材】となるように、幾つか試みてみました。 😀

 

その1つとして、園庭にはジューンベリーなどの【実のなる木】を植樹し、園児たちが、
【木から直接もぎ取って食べる】という都市部では貴重な体験ができるよう計画しています。
 園庭(冬場の写真なので、木々が寂しいですが…。。)

 

また、先程の【屋外階段】も…。

屋外階段は、保育室と園庭の動線距離を緩和する目的で設置しているのですが、
せっかくなら、もっと有効活用できる階段にしようと考え、敢えて園舎の中央に配置。

【単なる移動用階段】ではなく、【物見やぐら】のようなデザインとすることで、
階段踊場-園庭間で、
先生と園児、または園児同士が、自然なカタチで【見る・見られる】関係をつくりだせるよう、建築的に配慮しています。

また、階段の踊場は、園庭から舞台のようになってるので、
「集会」や「餅撒き」のような園内行事で活用してもらえれば、嬉しいです。

 

さらに、階段下には…、
 

下のスケッチ(兎? :roll:のように、曲面壁が周辺の音を集める特性を利用した集音ベンチを設置。


集音ベンチに腰掛けると、園児たちの声や園庭内の音がよく聞こえます。

この階段には、他にもいくつかの仕掛けを施していますが、それは、また作品紹介のときに…。 😉

 

 

次は、私たちが【背の丈壁】と呼んでいる園舎のエントランスに設けた壁です。

下のスケッチようなイメージで、普段必ず通過する出入口で、身長計測できるようになっています。

すくすく育つ園児の成長過程を、自身で、またご両親が実感できる壁…。
入園日と卒園日で何cm身長が伸びたのかな?という感じで使ってもらえれば嬉しいです。

 

超、長文になってしまってますが、次は、またもや階段…。

 

私たちが【さんすう階段】と呼んでいる屋内階段です。

壁に数字のプレートを接着だけの普通の折れ階段なのですが、
保育園という場では、園児が数字を見ながら階段昇降することで、下のスケッチのような使い方ができるのでは?と思い、ご提案させていただきました。


スケッチは、2+3=5の足し算ですが、他にも、7-3=4のような引き算、

さらに、これを応用すると、
3段を3回登ると3x3=9というように、かけ算やわり算の原理も学べるかも?


さんすう階段踊り場のイラスト(33段目:33匹の金魚) illustration:spicato

発想の起点は、子供の頃に遊んだ
グリコ(グー)、チヨコレイト(チョキ)、パイナツプル(パー)の階段昇降遊び…。

小学校入学前の園児たちに、少しでも早く数字に親しんでもらいたいと思ってデザインしました。 😀

 

以上、本当に長々と書き綴ってしましました。。。

 

最後になりますが、
寛大なお心で、ご提案を受け入れてくださった施主様、園長先生、保育士の皆様、
工務店並びに関係者の皆様、本当に、有難うございました。

 

保育園の皆様、そして園児たちにとって、有意義で発見に満ちた生活が始まることを
心よりお祈り申し上げます…。

ファサードの風見鶏(幼児→ヒヨコ) 

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