『御城番屋敷』を探訪…。
休日を利用して、久しぶりに、建築探訪へ…。
訪れたのは、三重県松阪市の御城番屋敷。
御城番屋敷は、江戸末期に、紀州藩士が松坂城警護のため、
家族と共に移り住んだ長屋形式の武家屋敷。
したがって、その歴史は古く、今から約150年前に建造されたモノなのだそうです。
国の重要文化財にも指定されている建築物ですが、現存する19戸のうち、半数以上が借家として貸し出され、現在もそこで生活されています。
実際に、今現在も使用されているというのが、素晴らしい! 😀
中央の石畳小路の両側に槙の生垣が配され、
その先、全長約90m(東棟)に渡り、平屋造りの長屋が並ぶ配置構成。
槙の生垣:その奥に、前庭、長屋、裏庭が続く。
全19件中、1件は松阪市が借用して、創建当時の姿を一般公開しています。
というわけで、内部も見学。
玄関より裏庭を望む:小路から裏庭まで続く土間。それに面して座敷が配置されています。
土間より玄関を望む:手前が台所
裏庭:裏庭に面して縁側と厠が設けられています。
裏庭より前庭を望む:裏庭と前庭が長屋を介して繋がっています。
檜皮葺の外壁と蔀戸
訪れてみた感想ですが、
槙の生垣が本当に印象的…。
コンクリートの塀とは対照的に、通行人の目を楽しませてくれつつ、
微かに長屋での暮らしぶりを伝えてくれる様が、
日本古来の生活様式を物語っている感じがしました。
内部は、当時の典型的な住戸ですが、
改めて典型的な日本家屋の合理性について考えさせられました。
例えば、小路から裏庭まで直結する土間(下足領域)には、炊事場が設けられ、
効率的な家事動線としてだけでなく、風通しにも一役かってます。
小路へと傾斜する切妻の屋根は、通りへの圧迫感を軽減。
懐のある屋根は、断熱性が高く、引き戸で間仕切られたプランは風通しが良く、
夏場でもエアコンなんて、必要なかったでしょう。
これらの間取りは、当時の生活様式を基に、試行錯誤の時を経て辿り着いた
日本人が無理せず(機械に頼らず)この国で快適に暮らすための解答。
だからこそ、建築家がおらずとも(むろん大工さんは居ましたが。)
ここまで考えつくれたプランになっているのですよね。。
勉強させていただきました! 😮