FOLLOW US

BLOG

『spicato office 』 Renovation vol.5

『株式会社spicato』さんのオフィスリノベーション工事が無事、竣工致しました。
spicato1

 

外構、植栽工事はこれからですが、竣工した建物を少しお披露目させていただこうと思います。

 

spicato2
エントランス
・力強い構造体を引き立てる意匠に。
spicato3
ワークスペース
・パブリックスペースとは棚、ブレースで緩やかに仕切られただけのワンルーム。
執務に集中できるようインテリアはシックな色調で纏めました。
spicato3
縁側
・既存に対し、倍寸法の木製建具に取替え、明るく開放感のある縁側に…。写真奥のクロゼット扉は既存の外部扉を寸法調整して再利用したもの。縁甲板は敢えてそのままの状態で。
ミーティングスペース
ミーティングスペース
・ワークスペースから延びる杉板張りの領域、既存部分に漆喰塗装を施した領域を混在させることで部屋単位で完結してしまわないよう配慮しています。床板は、前のオフィスから一緒にお引っ越し。
spicato4
パッチワークウィンドウ
・今では製造されていない、昭和の香り漂う既存古民家の窓ガラスをモダンにアレンジ。

spicato7
キッチンボックス
キッチン外壁は、現代の工業製品であるOSBを用いて、新旧の対比を表現。
spicato5
テラス
・8m幅の大開口に面した、幅9m奥行2.3mのテラス。床壁天井を木材でロの字型で覆い、領域を明確化。執務を補完する包容力のある空間に。
spicato6
テラス
左の裏庭(現在工事中)から伝わる季節感を存分に享受できる心地よい場所。

 

植栽を含む工事全体はまだ終わっていませんが、施主様から、既存物件の内覧に同行して欲しいとお声掛けいただいてから、約9か月。一応の完成に辿りつけました。

 

私共も、古民家のリノベーションを担当させていただくのは初めてで、今回もまた、学びの多い仕事でしたので、少し振り返ってみようと思います。
(少しと思いましたが、、、結果的にダラダラ書いてしまいましたので、ご興味がある方だけお読みくださいませ。)

 

初めて物件を拝見させていただいた時から、前庭-オフィス-裏庭が緩やかに繋がるオフィスにできたら気持ちの良い執務空間になるだろうという直感があり、その実現に向けて案を練っていましたが、問題は既存建物の耐震性とそれを両立させることでした。

 

地震時、建物が捻れないようバランスよく、しかも出来るだけ既存部に手を付けずに、加えて執務に支障のないように耐震化できる壁の位置をコツコツ探していくことに、最も設計時間が割かれています。

 

もう一点心掛けたのは、既存の古民家の良さを最大限引き出すこと。
54
改修前

 

現況調査で現地に足を運ぶ中、劣化して見える内外装の裏側、つまり、構造体こそが、この建築物に潜んでいる魅力だということに気付かされました。現在では珍しい小屋組みの工法、年月を経た木材の風格、製材されてない丸太や寸法の疎らな木材などです。

 

現在の一般的な住宅建築と大きく異なるこれらは、この建築物だけが有する価値。

 

それらを利用される方が意識でき、かつ必要最小限の改修で、さらに普通ではないものとして空間化するのに腐心しました。

 

結果、体感する人の観念、感覚の次元をずらす手法を採用することに。

 

私達の物の見方は、それを取り巻く環境や、その時の状況に大きく左右され、何を意識しているかで、同じ物でも感じ方が変わってくる心理効果が働くようです。

空間構成と色彩、素材のバランスで、そのような効果がでるデザインを心掛けました。
23
玄関(現場調査時)

78
キッチン(現場調査時)
69
座敷(現場調査時:天井から露出した小屋組)
1 59 28
玄関小屋組(解体時)

現況の写真もアップさせていただきました。今から見ると懐かしいですね。。🙂

今回、この仕事に携わることができて、古民家のリノベーションについて、僕なりに一つ想ったことがあります。

リノベーションという行為は、おばあちゃんから譲りうけたバッグをリペアし、さらにその時代に合わせてリメイクし、また大切に使い続けていくと同じことなんだと…。

 

最後になりますが、日程的にも厳しい中、黙々と工事に取り組んでくださった南さん(大工さん)をはじめとする職人の方々、難しくややこしい要望に対しても真摯に向き合ってくださった大平さん(監督)そして、自身もお忙しい中、現場に足繁くお越しいただき、ほぼ全ての設計を任せてくださった、施主の細尾さん、この場をお借りして、改めて御礼申し上げます。

ありがとうございました!

spicatoの皆様方が、この空間で働いてくださることを、心から嬉しく思っております。
そして、今後、益々発展されることを、心よりお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

PAGETOP