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本年も、有難うございました。

今年も残すところ僅かとなって参りました…。

写真:雑賀崎の夕暮れ

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フィールド建築設計舎

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『池田のマンション』が上棟しました。

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『神戸の保育園』について

『神戸の保育園』の概要

・施設用途 : 保育園(定員72名 対象0歳~5歳児)
・工事概要 : 新築工事
・主要諸室:保育室、事務室、調理室、会議室、倉庫、職員用・幼児用トイレ他
・階数/構造 :  4階建/鉄骨造
・敷地面積/建築面積/延床面積 : 392.58㎡/183.06㎡/499.15㎡
・付加設備 : エレベーター、床暖房設備

この保育園は、【都市型保育園】として、

①都市部の限られた敷地で、必要保育室面積を確保しつつ、良好な保育環境をつくりだすこと。
②都市部においても、感受性豊かな園児たちが、楽しみながら自然科学や文化、風習について学べる『教材のような保育園』をつくること。

が設計上のテーマでした。

 

以下に詳細を記載しておりますので、宜しければご覧ください。 

 


写真:南面の外観

 

①について。

広大な敷地面積を有していれば、下図左のように、園庭と園舎が同一階で連続する平屋建園舎が保育環境として理想的だと思います。

しかしながら、待機児童が多く、敷地も狭小になりがちな都市部において、一定数の園児を迎えるためには、保育環境として良いとは言い難い、下図右のビル型プランを選択せざるを得ません。

そこで、右のビル型プランでも、保育環境が充足されるよう、次のように計画を進めました。

 

まず、下の断面図のように、日当たりの良い南側に園庭を確保し、それに面して保育室を配置。


つづいて、接地していない2階、3階の保育室には、
雨天でも利用可能な奥行の深いテラス(空中園庭)を設けると共に、
そのテラスに面した保育室に大開口を設け、その窓を開放できる設計に…。

写真:南面して明るいインナーテラスは、奥行が2mあり、雨天利用も可能。


写真:大開口をフルオープンし、保育室とテラスを一体活用している様子。
 写真:保育室からテラスを望む(大開口フルオープン時)

 

そうすることによって、テラスと保育室の一体利用を可能にしつつ、
自然通風、そして適度にコントロールされた自然採光を室に導入できるよう配慮しています。

 

加えて下図のように、保育室と園庭との間に直通屋外階段を設け、
各保育室から園庭へのアクセスを容易にすることで、2・3階の接地できない保育室の問題点も緩和しました。

 

 

②について。

自然が乏しい都市部においても、感性豊かな園児達が、楽しみながら自然科学や文化、風習について学べる保育環境が望ましいと考え、絵本やお絵かき帳など、一般的な学習教材だけでなく、【園全体が教材】となるような設計を心掛けました。

設計時のイメージスケッチ 

 

 

以下、採用したアイデアについて…。

 

まず、1点目は、
園庭にジューンベリーなどの【実のなる木】を植樹し、園児たちが、【木から直接もぎ取って食べる】という体験ができるよう計画したことです。

スーパーなどで販売している果物も、元は木に生ってたものを収穫している訳ですが、都会で暮らしていると、そういった光景を目の当りにする機会は稀。

食育という言葉が使われるようになって久しいですが、感受性豊かな幼少期にこのような体験をしておくことが、重要ではないでしょうか。

園庭(冬場の写真なので、木々が寂しいですが…。。)

 

2点目は、屋外階段への工夫です。

屋外階段は、保育室と園庭の動線距離を緩和する目的で設置しているのですが、
せっかくなら、もっと有効活用できる階段にしようと考え、敢えて園舎の中央に配置。

【単なる移動用階段】ではなく、【物見やぐら】のようなデザインとすることで、
階段踊場-園庭間で、先生と園児、または園児同士が、【見る・見られる】関係をつくりだせるよう配慮。園児達が独自に新しい遊び方を発見してくれそうな場の提案をしています。

また、階段の踊り場は園庭の中心部で立体的に配置されているため、
園内行事の
「集会」や「餅撒き」のなどで活用し易いレイアウトとなっています。

 

さらに、階段下には…。

下のスケッチ(兎? :roll: )のように、曲面壁が集音するという特性について学べる『音集めの壁』を設置しました。

『音集めの壁』に備えたベンチに腰掛けると、まわりにいる園児たちの話声や園庭内の音が集音され、通常より大きく聞こえます。

カタチと集音の関係について、遊びながら、楽しく学んでくれると嬉しいですね。

 

 

階段下には、集音の原理が学べるベンチを設置しましたが、屋外階段には、他にも音について楽しく学べる仕掛けを設えました。先ほどは集音でいたが、今度は音程。

 

下写真の『鉄琴手摺』と名づけた階段手摺です。

 一見、何の変哲もないパイプ手摺ですが、下図のように手摺支柱の上に穴が開いており、ヤカンなどで水が注げる仕組みになっています。


注水量によって、音階が変わることが直感的に学べる手摺です。

音についても、学問的には周波数と波長が…ということになるのですが、難しいことは、学校に行ってから教科書で勉強してもらうことにして、まず、こういったことに興味をもってもらい、おおまかな原理についてイメージできる引出しをつくることが、幼少期の瑞々しい感性にとって重要なのだと思います。

ちなみに、工場で数種類の試作品を製作し、検証中のブログです→click here! 

 

屋外階段には、もう一つ仕掛けがあります。

櫓のような階段踊場の先端に設けた水鉄砲!

水鉄砲と言っても、結構本格的な代物で、様々な製品を調査し、使い易さと安全性に配慮して選定。ちなみに、これは樹木への散水にも利用されます。

夏の青空のもと、園庭を駆け回る園児と先生が水遊びに興じる姿を眺めていると、思わず笑顔がこぼれてしまいます。

 

場所を移して、3点目のアイデアは、建物内部。
私たちが【背の丈壁】と呼んでいる園舎のエントランスに設けた壁です。

下のスケッチようなイメージで、普段必ず通過する出入口で、身長計測できるようになっています。


下写真は、園児に協力してもらって、実際に身長測定している様子。

すくすく育つ成長過程を、園児自身で、またご両親が実感できる【背の丈壁】
入園日と卒園日で何cm身長が伸びたのかな?というように使ってもらえることを期待しています。

 

 

4点目のアイデアは、【さんすうかいだん】と名づけた屋内階段。

壁に数字のプレートを接着だけの普通の折れ階段なのですが、
保育園という教育の場なら、園児が数字を見ながら階段昇降することで、下のスケッチのような使い方ができるのでは?と思い、ご提案させていただきました。


スケッチは、2+3=5の足し算ですが、他にも、7-3=4のような引き算、さらに応用すると、3段を3回登ると3x3=9というように、かけ算やわり算の原理も学ぶことができます。

 


さんすうかいだん踊り場のイラスト(33段目:33匹の金魚) illustration:spicato

発想の起点は、子供の頃に遊んだ
グリコ(グー)、チヨコレイト(チョキ)、パイナツプル(パー)の階段昇降遊び。

小学校入学前の園児たちに、少しでも早く数字に親しんでもらえれば、と思いデザインしました。

 

 

最後、5点目のアイデアは、園舎正面のファサードに…。 

上写真、園舎の右上にある風見鶏です。

園舎の所在地である神戸らしさを表現するため、そして、風見鶏が風の動きによって回転することを園児達に学んでもらいたいと思い、設えました。


本当は鶏なのですが、保育園なので子供のヒヨコをモチーフにデザイン。

 

毎朝の通園時、園児がふと屋根を見上げると、
風見ヒヨコがクルリクルリと元気な姿で出迎えてくれ、園児もニッコリと微笑む…。

そんな愛らしい通園風景が、いつまでも続くことを願いつつ、
以上で、『神戸の保育園』についてのご説明を終えたいと思います。

 

長々と書き綴りましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました。 😉

 

 

 

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