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favorite place vol.12『尼崎閘門』

先日、尼崎閘門集中コントロールセンターの施設見学に行ってきました。

 

この施設、以前勤務していた会社で設計に携わった自分にとって、大変思い出深い建物。

 

ご存じない方も多いと思いますが、特殊な施設なので、ご紹介させていただこうと思います。
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集中コントロールセンター

 

 

 

まず『閘門』って何?と思われる方も多いと思いますが、閘門とは下図のようにパナマ運河と同じ仕組みでつくられた船のエレベーターのこと。

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閘門の仕組み(資料:集中コントロールセンター防災展示室)
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閘門を船舶が通航している様子

 

 

ちなみに、正式名称は尼崎閘門ですが、英語で閘門のことをロックゲートと言うことから、『尼ロック』の愛称で親しまれているようです。

 

僕も『尼ロック』の方が尼崎らしくてカッコいいと思うので、以下『尼ロック』で。

 

閘門施設は日本に数十カ所あるようですが、この尼ロックは日本でも最大級で、パナマ運河方式の閘門としては日本初。

上の写真では小型船舶が通航していますが、最大で500tクラスの船舶が通航できる設計となっているそうです。

 

 

ではなぜ、これだけ大規模な閘門施設を建造することになったか?

それは、尼崎市の工業都市としての歴史が関係しています。

 

 

尼崎市は、大正から昭和に掛けて工業が発展することに伴って、工場が地下水を大量に汲み上げたことで地盤沈下が進行。

 

市域の南側3分の1が海抜0メートル地帯になってしまいました。(下図赤破線より下の部分)
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尼崎市断面図(資料:集中コントロールセンター防災展示室)

 

 

 

結果、室戸台風、ジェーン台風といった歴史的な台風の影響で、大規模な浸水被害が発生。

特にジェーン台風では高潮も重なり、当時の市民28万人のうち24万人が被災するという甚大な被害が発生します。

 

このジェーン台風を契機に下図のオレンジ色の部分に防潮堤を築造。高潮で市域が浸水することが無くなりました。

また大雨での浸水に対してはポンプアップで対応。大規模なポンプ場を建造することで、洪水時の雨水を河川や海に排出できるようになりました。

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防潮堤と堤防(資料:集中コントロールセンター防災展示室)
一方で、尼崎が工業都市として変貌を遂げていく過程で、工場への物資運搬のために、河川は水上交通の役割を果たす運河として整備されていきました。

 

その運河への入り口が尼ロックです。

 

尼崎市を防潮堤で囲むことで高潮被害から街を守ると共に、尼ロックという玄関口で海と運河の船舶通航を繋いでいます。

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Google map

 

 

閘門の先は大阪湾へと繋がっています。
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Google map
集中コントロールセンターは(下図①)は、この2基の閘門を監視、開閉するほか、臨海部の運河に設置された水門の監視を行うなど、防災拠点としての機能も果たしています。
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尼崎閘門全景パース(資料:集中コントロールセンター防災展示室)

 

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集中コントロールセンター

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集中コントロールセンター(閘門側)

 

 

白い部分が操作室。

操作室は、飛行場の管制塔を参考に設計しました。閘門施設全域への視認性を向上させるために悪戦苦闘していた日々が懐かしい…。

 

 

この施設1階には、防災展示室が設けられており、毎年7月と8月の土日は予約無しで一般公開されています。

 

尼ロックを通航する船舶を間近で眺めたい方、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょう?😀

 

 

 

 

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