favorite place vol.15『備瀬のフクギ並木』
先日、夏季休暇で沖縄を訪れた際、本部町の備瀬地区にあるフクギ並木を見学させていただきました。
今回は、沖縄の風土と地域住民の方々が長い年月をかけて育んできた、この『緑のトンネル』をご紹介させていただこうと思います。

備瀬のフクギ並木
沖縄の海辺の集落では、フクギ(福木)を屋敷林として植樹する文化が昔から伝統的に根付いているそうです。
屋敷林とは、住宅(家屋)や集落の敷地を取り囲むように植えられた樹木群で、防風・防潮・防砂・防火などの役割を持つ緑地のこと。
住宅の敷地内に植えられた樹木という点では、一般的な住宅地の植栽や生垣と似ていますが、住宅地の植栽が主に目隠しや景観を整えるためのものなのに対し、屋敷林はもっと規模が大きく、樹高もあり、防風・防砂・防火といった防災の役割を強く意識して植えられています。

防災のために植えた屋敷林ですが、結果的に小鳥や昆虫のすみかとなり、景観の向上や生態系の保全にも役立っています。
まさに、経験的にその土地の気候や風土を理解していた先人たちの知恵の賜物。
そんな屋敷林は、写真のように点在しているのが一般的ですが、

備瀬のフクギ並木は、各家を囲む屋敷林が隙間なく密集しつつ、道や敷地が碁盤の目のようにきちんと整えられているのが大きな特徴です。

下の画像はグーグルマップの航空写真。
フクギ(福木)の屋敷林が密集している様子がおわかりいただけると思います。

『備瀬のフクギ並木』の『並木』という言葉からは、県など、自治体が公道沿いに植樹した街路樹をイメージされるかもしれませんが、決して街路樹ではなく、各家が自宅の敷地を囲むように植樹した屋敷林が通りを隔てて連続的に密集したもの。

その結果、まるで森の中に家々が点在しているかのような、緑の回廊を思わせるような、独特の景観をつくりだしています。
敷地境界を囲むようにして植樹されたフクギ(福木)
下画像の黒線で囲まれた範囲が、『備瀬のフクギ並木』にあたりますが、その全長はおよそ1kmにも及び、その数は数千本とも言われており、県内でも最大規模だそう。


ちなみに、フクギ(福木)は塩分に強い熱帯性の常緑高木で、厚く光沢のある葉が密に茂り、根を深く張り巡らせるため、台風の暴風にも耐える強さを持っています。
さらに、幹はまっすぐ、かつ非常に頑丈で、10mを超える高さまで成長するのだとか…。
こうした特徴は、激しい台風や強烈な日差しにさらされる沖縄の風土にとても適しているので、屋敷林に使う木として、自然と親しまれてきたのも頷けます。

実際に散策していても、木陰はひんやりとして、海からの自然な涼風がとても心地良く、夏の沖縄にいるのを忘れそうになるくらい…。
しかも、この並木道を歩いていると、地域で飼われているのか、野良猫なのかはわかりませんが、人懐っこい猫たちも自然にたくさんいて、トトロの世界に迷い込んだような、なぜか懐かしいというかホッコリした気分になります。
本当に不思議な場所で、とても貴重な体験をさせていただきました。😀
沖縄を訪れる際には、ぜひ一度立ち寄られることをお勧めします。
ただ、先ほども触れましたが、この並木道は一見すると街路樹のように見えますが、実際には各ご家庭の屋敷林がつながってできたもので、日々の清掃や剪定、枯れ木の処理といった基本的な手入れや、観光客向けの案内地図や順路表示といったことまで各ご家庭で行われているそうです。
読者の皆様にあえて言う必要はないかとは思いますが、もしこちらを訪れる際には、この美しい景色を楽しませてもらっているという気持ちを大切にしながら、ゴミは絶対に持ち帰る、住まわれている方へのプライバシーには絶対に配慮するなどのお心がけの方、よろしくお願いいたします。
- Date:2025.08.31|
- Category: YANO'S BLOG |
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