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『香川県庁舎』が戦後最重要25建築に選出…

故丹下健三先生、設計の『香川県庁舎』が「ニューヨーク・タイムズ・スタイル・マガジン」の企画で、「戦後建築で最も重要な25の作品」に、日本で唯一選出されたそうです(祝)

他には、国際宇宙ステーション、近代建築の巨匠、ル・コルビジェ設計のラ・トゥーレット修道院などと共に選出されたそうなので、本当にすごいことだと思います。

 

これは、10年ほど前に香川県庁舎を訪れた時に撮影した写真。
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今でこそ一般的ですが、当時の新技術であったRC造(鉄筋コンクリート造)を用いながらも日本の伝統建築である木造の意匠と融合させ、『柱と梁』を魅せる建築にまで昇華させている点が凄いところです。

RC造建築といっても、当時の日本では海外建築の模倣ばかりだったのですが、この建築はモダニズムの領域で、日本オリジナルのデザインとして、世界に日本建築を認めさせた点において高く評価されています。

訪れた時の感想は、梁の水平性と柱の垂直性が極限まで研ぎ澄まされた、『線の建築』というのも印象的でしたが、それ以上に、1階ピロティー(高床柱の半屋外)の計画が秀逸だった記憶があります。
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ここではピロティーを一般的な活用方法である駐輪場や通路として以外に、市民の公共的な縁側(軒下空間)のように積極的に活用していました。

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ピロティーに設けられたベンチ(香川県観光協会さん、ちょっと写真お借りしまーす😬)

大通りと中庭に挟まれたピロティにはベンチがあって、近所のおじいさんが夕涼み目的で来ていて(たぶん😆)、その場とおじいさんがすごく馴染んでいるような感じがしました。

僕が知っている県庁舎で、そのように感じたのは、今のところ、ここだけです…

 

ピロティの概念自体はフランスから輸入されたもので、建物を浮かす人工地盤という意味です。

学生時代、建築旅行で、このピロティーの発案者であるル・コルビジェ設計のユニテダビタシオンという集合住宅を見学にいきましたが、そこでも主な使われ方は駐輪場のような物置き場としてだけでした。

でも、そのピロティに対して、丹下先生が日本人固有の軒下空間に通じる感覚を持たれていたからこそ、この空間が実現したんだろうと思います。

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私の設計作品ではありませんが、建築を設計する者として、日本人として、この建築が世界中で戦後を代表する建築物に選出されたことを誇りに思います。😀

 

 

矢野

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