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閑谷学校。

今回は、昨年末に訪れた岡山県にある閑谷学校のお話…。

閑谷学校は、寛文10年(1670)に備前藩主池田光政が創設した日本最古の庶民学校。
これら一連の建造物を建築するため、約32年の月日を費やされており、
細部まで丁寧につくりこまれた質の高さ、そして圧倒的なスケールには驚愕の一言…。

 

現存している講堂も、もちろん素晴らしいのですが、
私が一番興味をもったのは、このカマボコ型の石塀です。
資料によると、長さ756mにおよび、お城の石垣のように形の異なる石を巧みに組み合わせた構造。

この石垣は元禄十四年に築造されたそうで、完成後300年以上の月日が流れているとのこと…。

こういう石垣をみると、改めて歴史がつくりだす「アジ」について考えさせられます…。

「アジ」も見方をかえれば、汚れやムラや傷だったりするのですが、
自然素材と時の経過がつくる微妙な風合いは、不思議と「汚れ」を感じさせません。

逆に歴史の重みを感じさせてくれます。

この風合いを醸し出すには、最低300年の年月が必要で、
今つくったら、私たちが生きている間、この風格ある姿に至ることがない。
そう思うと、とても貴重…。 


もし、この「汚れやムラや傷」を取り去ってしまうと、
今まで時をかけて積み重ねてきたモノが無くなってしまう…。
そう感じられるようなモノ。
それこそがアジ…。

現在建てられている数多くの建物は、効率優先で、
完成したときが最も美しく、後は汚れ、劣化していく…。
だから、なるべく「汚れ」ないように、メンテナンスしなくても良いように…。

現在の日本社会では、そのような考え方が主流のように感じます。

でも、この閑谷学校のように、完成後もカッコ良く年をとる建築。
そして、汚れを「アジ」と感じられる重みある建築をつくっていきたい…。
改めてそう感じるようになりました。 😀 

長々と書き連ねてしまいましたが、
閑谷学校は、周辺の自然景観と見事に調和し、この地域一帯が独特の雰囲気を形成しています。
江戸時代にタイムスリップしたい方…。一度訪れてみられては…? 😀

矢野

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